羽村市郷土博物館に行った時に購入したものですが。
鞄に入れておいて、電車に乗ったときに読んでいたら、だいぶ時間が掛かってしまいました。
内容は、とても面白いものでした。
身近に存在する玉川上水に、これほど様々な側面があったとは。
たとえば、玉川上水に関する資料、文献がいかに少ないか。
江戸幕府にとって戦略的に重要な施設であるため、多くの情報が秘密とされ、まとまった文書資料も長い間無かったわけですね。
その結果として、不明瞭なことがいかに多いか。
たとえば、玉川上水を玉川兄弟が作ったという「常識」への異論があるというのは興味深いです。野火止用水の取水点までは、本来野火止用水として作られていた可能性の指摘であるとか。夜に火を灯して測量したという「よくある説明」に疑問があるとか。そういった、子供の頃からすり込まれてきた「常識」への疑問の提示は、安定していたはずの世界観が揺らぐエキサイティングな話題ですね。
そう。
真にエキサイティングなのは、宇宙の彼方や太古の昔の出来事というよりは、身近にあって揺らぐはずもないと思われていた常識が揺らぐところにあります。
まさに、それに該当するという意味で、この論文集はエキサイティングですね。